【知久牧場】
知久牧場は、千葉県野田市で約130頭の牛を育てています。
ブランド牛乳である『せきやどミルク』は、利根川と江戸川の間を指す古い地名の『関宿町』から名付けました。
関宿町は、昭和天皇に最も信頼され、かの大戦を終戦に導いた第42代内閣総理大臣の鈴木貫太郎が幼少期を過ごした町です。
老後に関宿に戻った勘太郎は、利根川の堤防に注目し、これを利用できないものかと考え、農家の安定した収入確保のため、「堤防に牧草の種をまき、乳牛を飼うべき」と説きました。
戦後まもなく蚕産業から、土地の特性を生かした酪農が盛んな地域となり、最盛期には200軒を超える牧場がありました。
現在では高齢化などにより、わずか15軒ほどに牧場数が減少してしまいましたが、約80年の間、牛たちを大事に守りながら畜産を続けてきました。
【最長18年!健康的な牛を育てています】
日本で飼育されている牛の平均寿命は約3.5年だと言われています。
牛はもともと草食動物で、野生では牧草や野草を食べていますが、畜産農家では成長を早めるため、飼育コストを抑えるために輸入配合飼料(とうもろこしなどのタンパク質が多いもの)を与えるのが一般的です。
人間に例えるなら粗飼料が野菜、配合飼料がお米や肉・魚と言えます。
現在主流となっている配合飼料を与えれば、お乳がたくさん出るようになります。
その一方で、与えすぎると肥満になったり、アンモニア中毒になったりと、牛の体への負担が大きく、病気や短命の原因となります。
地元江戸川の広大で真っすぐで作業効率がよい河川敷の特徴を利用して、牧草を自分たちの手で育てています。
肥料には牛のフンを加工した堆肥を使い、秋に種を撒いて、年4回牧草を収穫しています。
牛の飼育で忙しい中、牧草の栽培や収穫に時間をかけることは簡単ではありません。
チモシーやオーツヘイは、イネ科の牧草です。
餌やりは1日に何度も行いますが、特に朝5時と夕方15時半がメインとなります。
牛たちが食べる量も多く、ガッツリとしたご飯になるので、食前の胃に刺激を与え、餌の消化を良くする狙いで与えています。
もやしのサイレージは、もやしの根っこやひげ、カット野菜を作るときに余る芯などを利用しています。
本来なら捨ててしまう部分を再利用しています。
牛たちの大好物の酒粕は、野田にゆかりのある酒蔵(飯沼本家、まがりや、甲子酒造)から仕入れています。
喜んで食べてもらえるだけでなく、酒粕には善玉菌が豊富に含まれているため、整腸剤の代わりとして牛たちの健康づくりに役立っています。
また、牧草などの粗飼料を消化しきれず、死んでしまう仔牛が全国には多くいます。
知久牧場では、野田市が粉砕飼料米の提供サービスを利用し、仔牛に与えています。
米をそのままの状態で与えるよりも消化が良いために、牛への負担が少なく胃のねじれなどの病気が起こりづらくなります。
これから、18年お世話になる牛を仔牛から健康的に大切に育てています。