【アパート住まいなのに、仔牛を買ってしまいました】
【くりこ】
仔牛を買ってしまったものの、飼う場所もない、機械もない。
勢いで飼ってしまったけど、どうしたものか。
働いていた千葉の牧場が増えすぎた仔牛の里親を探しており、飼い主と仔牛の気持ちを想い、後先考えずに手を挙げたのが事の発端でした。
牛が好きすぎて3年間北海道で住込み修行したあとに、縁があり千葉の牧場で働かせてもらい始めた矢先でした。
とりあえず、引き取ってもらえる人を探すしかない。
仔牛を預かってくれる方を探していたときに、快く引き受けてくれたのが知久牧場でした。
それが今の嫁ぎ先であり、旦那さんです。
畜産農家に嫁いだと言うと、ほとんどの方が『大変でしょう?』と声をかけてくれますが、牛が好きで可愛くてたまらないので、日常のお仕事を大変だと思ったことはありません。
【牛たちは元気に過ごしてほしい】
仕事をしていて一番つらいのは、病気で牛が立てなくなってしまうこと。
その後お肉になるとしても、歩いて元気に牧場を出ていってくれる分には、動物園の餌になったり、皮も骨も全部捨てるところがないくらい使えますから、またその後もずっと役に立ってくれます。
でも、牧場で立てなくなって死んでしまった牛は、もうどうしようもありません。
危険な病気ではないか調べて、化製場で燃やしてしまいます。
大事にかわいがって育てた牛が、何も残せずに処分されてしまうのが悲しいんです。
牛たちが健康に長く生きられるように、日々大切にお世話をしています。
アイスクリームの開発をきっかけに、今まで牛乳を飲んでこなかった人にも、ミルクの美味しさに触れてもらえたら嬉しいです。
鈴木貫太郎さんが愛した歴史ある酪農地区をより多くの方に知っていただけたらと思います。
【農業とパティシエを経験】
【藤村】
農業高校から、農業大学校、製菓学校に進みました。
製菓学校1年生のときに和菓子、洋菓子、パンの基礎を学び、2年目からは洋菓子を専攻し、23歳のときにパティシエとして働き始めました。
パティスリー、ブーランジェリーなど複数の会社に勤務しましたが、コロナ禍の影響を受けて会社が休業し、新しい勤め先を探していました。
農大時代の友人のやぎを農園で働いていた時に、くりこさんからお誘いをいただきました。
【アイスクリーム作りに専念します】
元パティシエがいるらしいと、家まで押しかけてきたくりこさんの熱意と人柄に共感しました。
もともと大学で農業をしていたことがあるので、農家さんの状況もなんとなくわかっていましたし、ここでなら自分の今までの経験を集大成として発揮できると考え、即決でオファーを受けることにしました。
オファーを受けて工房に伺ったところ、カルピジャーニ社をはじめとする、アイスクリーム作りに必要な機械がすべて揃っていたのには驚きました。
まだ、パティシエの確保も確実じゃなかったはずなのに(笑)
くりこさんの期待を裏切るわけには行かないので、知久牧場の美味しい牛乳の魅力を最大限に出せるアイスクリームを作れるよう、これからも努力と試行錯誤を続けていきます。